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2/ 貸はらっぱ音地
無料会場
会期: 2 / 10(土) ~ 2 / 25(日)
開場時間: 24h 

住所: 東京都台東区谷中7-17-6

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会場について

朝倉彫塑館の道沿いにある広場、もとは宅地として購入されたが、現在は町の開かれた場所として貸はらっぱとなっている。

展覧会やワークショップ、移動販売など公園や路上での活動が許可制となり難しくなっている昨今、様々なイベントを受け入れることのできる貴重なスペースとなっている。

『いる気がした』

絵画空間の中にあるイメージに触れようと必死に筆を動かし続けた結果、別世界を切り取る窓のような四角い形に俺は妙な愛憎を覚えた。四角を拒むようにしてめちゃくちゃに組み換えられた木枠、それでも何かが捨てられないような感覚もあり丁寧に画布を張り、丁寧に絵の具を重ねた。絵画として生きているのか死んでいるのかわからないそれを俺は『ゾンビ』と呼んだ。

ある種の絵画への冒涜ともとれるこの作品は多くの絵描きの友人達から嫌われた。絵画の全てとも言える[空間性]に中指を突き立ているようなヤツだ、それは仕方ないことだと思う。ただ、不思議なことに多くの彫刻家の友人達はコイツに興味を示していた。張力によって生まれる形が美しいとか、木枠と芯棒がリンクしているとか、絵描きの目線とは違った視点から語られる様々な話を聞きながら俺はこれからまた何かが生まれるような高揚感を覚えた。絵画の死生観を考えた末に生まれた物の中で彫刻的な要素が芽生えるという、皮肉混じりの妙なときめきであった。

俺は今でもコイツが『絵画』なのか『彫刻』なのかわからない。こんなどっちつかずの作品を彫刻祭に出すことには正直申し訳なさも感じている。ただ、不思議となぜか居心地の悪さは感じていない。彫刻祭の隅っこで突っ立っているコイツは、去年行われた絵画祭にもいたアイツだ。「どちらでもない」ということは「どちらでもある」ということにもなり得る。どの次元に属しているのか曖昧なまま今日もゾンビは目の前に立っている。(多田恋一朗)

キュレーション​・アーティスト|多田 恋一朗

恋一朗くん.jpg

多田恋一郎 TADA Koiichiro

1992年産まれ、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(技法材料研究室) 修了。空想上の人物やその在り方について考えながら、ポートレートや変形キャンバス作品を中心に制作している。主な個展に「堂々巡りの夜のワルツ」(2019、Bambinart Gallery)、「彼岸に咲いてたゼラニウム」(2022、TAKU SOMETANI GALLERY) 、主なグループ展に「生きられた庭」(2019、京都府立植物園、京都)、「Standing Ovation / 四肢の向かう先」(2021、ホテルニューアカオ)などがある。

多田恋一朗、ブラックアウト、2021年、髙木遊.jpg

『ブラックアウト』

 2021年

 撮影|髙木遊

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